過払い金の返還請求で裁判まで長引いたKさん

―今回のインタビューでは、過払い金の返還請求が裁判にまで長引くことになったKさんです。よろしくお願いします。

Kさん(以下、K):どうも、よろしくです。

―裁判まで長引いてしまったということですが、結果的には勝訴になったんですよね?

K:ええ、証拠も十分に集めていたのでそれは裁判を始める前から分かっていたんですけど…。とにかく、まずはどうやって裁判を行うことになったのか説明しますね。

―お願いします。


証拠を揃えてもなかなか返還に応じてくれない…!

K:借金自体は昔生活費として借り入れたもので、CMで知っていた大手消費者金融を利用しました。だんだんと収入も増えて返済額も増えていったのですが、なんせ一時期生活費のすべてを借金で補っていたので、完済には結局10年近くかかってしまったんです。

―10年とは結構かかりましたね。でも、融資を受けたのが今から10年以上前ということは…?

K:そうです、金融業界の中でもグレーゾーン金利が広く使われていた時代でした。2010年の法改正関連のニュースを見て、僕も自分の融資が違法金利だったことに気がついたんです。

―びっくりされましたか?

K:そうですね。有名な消費者金融だったのですっかり安心していましたが、まさか自分が違法金利の融資を受けていたなんて。それに。弁護士に返還請求できる過払い金の額を聞いたときもかなり驚きましたね。

―そこから、すぐに返還請求を?

K:はい、弁護士に依頼して、まずは必要な書類を集めることになりました。几帳面な性格なので当時の契約書などは保管していたのですが、明細書までは保管していなかったので業者側に当時の取引情報の開示を請求することにしたんです。でも、これになかなか応じてくれなくて…。

―情報開示は業者側の義務として法でも決まっているのでは?

K:ええ、なのではっきりと拒否されるわけではないのですが、手続きに時間がかかるといってなかなか情報を渡してくれないんです。結局、必要な情報がすべて揃ったのは開示請求して2ヶ月ほど経ってからでした。

―そこからは、すぐに業者との交渉を?

K:はい、ただ予想通りなかなか返済にも応じてもらえなかったんです。どうやら時期がちょうど決算前に被っていたので、業者側も支払いをなんとか先延ばしにしたいと思っていたらしく。また、返済額も本来請求できる額の半額程度で済ませようとしてきたので、残念ながら交渉はそこで打ち切りになってしまいました。


裁判が終わるのはそこから更に一年近く経ってからだった

―そこから裁判を行うことになったのですね?

K:はい、最初は費用など不安だったのですが、勝訴になれば裁判費用も請求できると伺ったので、弁護士に依頼して訴訟を行いました。

―裁判はどういった雰囲気でしたか?

K:そうですね、もちろん、当事者が出廷しなければならないこともあるのですが、基本的には代理人の弁護士が裁判を進めてくれるので、正直どういった雰囲気というのはよく分かりませんでした。最初の方は業者側もみなし弁済が成立していると対抗していたらしいのですが…。

―みなし弁済とは?

K:んー、分かりやすく言えば、違法な金利の融資であっても債務者が認識して、任意で返済を行えば違法な融資として認められないということですね。みなし弁済が認められれば過払い金の返還を行わなくていいので、業者側では結構こういった手段で対抗してくる業者も多いようです。

―今回のケースではどうだったのでしょう?

K:今回は僕が違法金利であると知っていたのかどうかが決め手となりました。業者側は契約書に金利も明記されているから、グレーゾーン金利であることは認識していたと言うのですが、素人が金利を見たからってそんなの分かるはずないですよね。結局、裁判所もそういった判断をしてくれて、みなし弁済が認められることはありませんでした。

―そこからはスムーズに裁判も?

K:はい、元々業者も本気でみなし弁済が認められると思っていたのではないんです。出来る限り裁判を長期化させて、こちらが折れて示談に持ち込めるのを待っていたのだと思います。でも、弁護士の方がずっと励ましてくれたのでなんとか完全勝訴を掴むことが出来ました。


簡単に業者の条件を飲み込むのは危険!

―今回は完全勝訴ということで要求額はすべて返還されたのですね?

K:ええ、当初業者が提示した条件はこれの半額だったので、そこで諦めていたら百万円近くの損失が出るところでした。もちろん、少額の過払い金であれば裁判をするのも面倒なので、何割かの返還で済ませるというのもアリだとは思うのですが、額の大きい場合には簡単に諦めるのは損ですよね。

―それが業者側の狙いでもある?

K:はい、業者側は出来るかぎり返還額を少なくしようとして、交渉を長引かせるなどいろんな手を使ってきます。あの大手消費者金融でさえそうなのですから、大体の消費者金融がそうなのかなと思いますね。なので、交渉を受け入れるのか、裁判にまで持ち込んで勝訴を狙うのか。裁判になると仕事を休まなければいけないということもあるので、そういった点も考慮して決めていただければと思います。

―本日は貴重なお話、ありがとうございました。

K:いえいえ、これが誰かのお役に立てれば光栄です。