―今回お話を伺うのは過払い金を請求したにも関わらず、業者が倒産したためにほとんど受け取れなかったIさんです。
Iさん(以下、I):よろしくお願いします。
―しかし、和解が成立したのに過払い金が受け取れないなんてあるんですね。
I:はい、私もそのときにはびっくりしました。過払い金自体が寝耳に水だったので、あの半年間は本当に波乱万丈でしたね。
―はい、今日はそのあたり詳しくお伺いしたいと思います。
貸金業法改正の流れで過払い金の発生が発覚
I:わたしが過払い金の存在に気づいたのは2010年あたりのことでした。
―2010年というと…貸金業法が改正されたあたりですね?
I:はい、あの騒動でニュースでも過払い金って言葉がたくさん使われるようになって。それで、もしかしたら…と思って、昔ちょっとお金を借りていたので調べることにしたんです。
―それで、過払い金が発覚したのですか?
I:ええ、弁護士に調べてもらうと呆気無くすぐに過払い金が発生していることが分かりました。しかも金額も50万円を超えていたので重ねてびっくりといった感じで。なので、すぐに弁護士に依頼して過払い金の返還請求を行うことにしたんです。
しかし、業者の倒産で思わぬ展開に…
―過払い金の請求自体はその後スムーズに進んだのですか?
I:そうですね。弁護士に依頼してから3ヶ月程度で和解までこぎつくことができました。でも、こうもすんなり話が進むことに、おかしいなと思わなければいけなかったんですよね。
―それからはどうなったのですか?
I:和解によって、一ヶ月後に過払い金の返還日が決められました。過払い金というのは和解したからすぐに返してもらえるものではなくて、一定期間経ってから支払い期日が設けられるのです。
―でも、一ヶ月後というのはそこまで遅いというほどでもないですね。
I:はい、なので何も心配することなく、支払い期日が終わるのを待っていたんです。そうしたら、ある日その業者が倒産したというニュースがあって…。
―それは、驚いたでしょうね。
I:そうですね。当時は業界内でも最大規模の消費者金融だったので、まさか法改正によってこうも簡単に潰れるとは…といった感じで。
―確かに、それだけ貸金業法の改正は大きな影響を与えたということですね。
I:利用者を守るために、法改正をしてグレーゾーンの撤廃をしてくれたのは分かるのですが、その結果、倒産して過払い金を受け取れないのではちょっと意味がないですよね。こういったお金を扱うダイレクトな業者に対しては、国ももう少し配慮が必要だったのでは…と思いますね。
―結局、過払い金は支払われないまま?
I:いえ、一応債権者には平等に振り分けられましたよ。ちなみに私が受け取れたのは本来の3%程度の配当でした。50万円ぐらい貰えるはずが、わずか数千円ですからね…。こんなことなら過払い金の存在なんて知りたくなかったです。
―本当に大変な時期を過ごされましたね。本日は貴重なお話ありがとうございました。
I:はい、ありがとうございました。