―今回お話を伺うのは過払い金の返還請求に失敗してしまったというHさんです。
Hさん(以下、H):お願いします。
―その節は残念でしたね。
H:そうですね。僕の場合はやはり知識がないばっかりに…といった後悔がありますね。
―では、まず完済までの経緯からお願いします。
学費のために借り入れしたのがきっかけだった
H:僕はもともと勉強が苦手で、苦労して入った大学でもなかなか勉強が追いつかずに留年してしまうことになったんです。学費は奨学金でまかなっていたのですが、留年になると奨学金も打ち止めになってしまって…。それで、何とか消費者金融から50万円の融資を受けて学費を支払ったんです。
―その歳でそれだけの融資を受けるというのはすごいですね。
H:ええ、今思えば本当に無茶でした。卒業して社会人になればどうにか返済出来ると思っていたんです。でも、大学を5年かけて卒業してからもなかなか就職することが出来なくて…。それで、しばらくはバイトを続けていたのですが、そうすると今度は返済が厳しくなってしまって。奨学金も返済しなくてはいけなかったので、どれだけ働いても生活費と返済ですべて消えていましたね。
―そこから、よく完済までもっていきましたね。
H:友人の勤める会社が人手を募集しているということだったので、何とか頼んで入れてもらったんです。でも、入社したばかりなんて給料も少ないから、また他社から借り入れたりもして。結局、すべてを返済するまでに卒業してから7年程度かかりましたね。
過払い金について知ったのはつい最近のことだった
―そこからいつ過払い金について知ったのですか?
H:過払い金について知ったのはつい最近のことでした。まさか自分に関係しているとは思っていなかったのですが、もしかしてと思って調べてみると結構な額の過払い金が発生していたんです。でも、それに気がついたのは完済してから十二年経った時でした。
―…十二年ですか。
H:はい、過払い金って完済から十年経つと時効が成立してしまうんですよね。僕も気がついてからすぐに弁護士さんに相談したのですが、返還請求出来る可能性は殆どないとのことでした。裁判まで持っていくという方法もあったのですが、勝てる見込みは少ないし、負けた時には費用なども払わなくてはならないですからね。泣く泣く諦めることにしたんです。
―過払い金はいくらぐらいだったのですか?
H:発生した過払い金はざっと見積もったところ百万円弱といったところでしたね。なので、何割かでもいいので返還してもらえれば嬉しかったのですが。やはり、業者も商売でお金を貸していますからね。時効で支払わなくていいものは支払ってくれませんよね。
融資を受ける際にはしっかりと勉強して欲しい
H::今回過払い金の返還請求に失敗したというのは、業者が悪いわけでも法律が悪いわけでもなくて、単純に自分の勉強不足が招いた結果なんですよね。グレーゾーン金利だって、当時の金融会社では当たり前だったのだから、それでお金を貸したからといって業者が悪いと言い切ることは出来ないですよね。
―しかし、知らないというだけで数十万円損するのは怖いですね。
H::ええ、なのでこれからお金を借りようと考えている方には、しっかりと融資について勉強しておいて欲しいですね。私みたいに百万円近く損をするということは稀だと思いますが、知っておくことで色々と得をすることもあると思うので。
―確かに、結局融資を上手に使いこなすのは自分次第ということですね。
H:その通りです。僕もあの時お金を借りてでも大学を卒業したおかげで今があると思っているので。融資というのは人生において必要不可欠なものですからね。
―どうも、今日はありがたいお話をありがとうございました。
H:いえいえ、こちらこそありがとうございました。